企業の賃上げを後押しするために法人税を特別に減税する「賃上げ促進税制」について、政府・与党は適用対象から大企業と中堅企業を外し、資本金1億円以下の中小企業に絞る方針を固めました。大企業や中堅企業に対しては、賃上げを促す効果が薄いと判断したものです。この制度は、企業が一定の賃上げをすれば法人税が減税されるしくみで、賃上げ率が高いほど減税率も大きくなります。企業に対する特例的な減税「租税特別措置(租特)」の一つとなります。
深刻な人手不足などを背景に、資金に余裕がある大企業を中心に高水準の賃上げが定着しつつある状況の中、大企業と中堅企業は3%の賃上げが減税を受ける条件なのですが、高いハードルとはいえなくなっていて、動機付けになっていないとの指摘が出ていたものです。ただ、中小企業に対しては、価格転嫁が十分に進まず、賃上げが遅れている状況もふまえ、支援を続ける必要があると判断しているようです。
ポイント
賃上げが先か、景気回復が先かの議論もありますが、物価がこのように上昇傾向にある昨今では、中小企業にとっても、賃上げによる減税効果を考える
一助になりそうです。この制度、実はなかなか税理士にとっては、計算がまずまず複雑で手こずる一つでもあります。